小さな建築

建築 2010-05-15

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最近訪れた、二つの小さな建築。高尾山のツリーハウスと藤森照信さんの茶室。
まわりに醸し出すチャーミングな雰囲気と、濃密な時間と空間。
非常に惹かれました。

ツリーハウスは、裏高尾にありました。
歌う生物学者として有名な本川達雄先生の授業&ライブに、友人とそのお子たち二人と参加。今年は、国際生物多様性年だそうで、生物の宝庫である高尾山それもその真っ只中、木漏れ日が心地いい林の中でのレクチャーでした。生物についてのわかりやすいお話ひとつと歌がセットで進行していきます。単純な法則と歌による刷り込み。鬼に金棒です。こんな理科の授業受けてみたかった。。後日「ゾウの時間 ネズミの時間」を読んで、動物はそれぞれ異なる時間の単位を持っていること、「一生を生き切った感覚は、存外ゾウもネズミも変わらないのではないか。」の言葉にもハッとさせられました。写真にあるように、ツリーハウスへは崖の上からつり橋を渡ってアプローチします。なので意外なほど高い位置にあります(下部のデッキの下はさらに崖)。屋根にも登れて、それはかなり怖いです。体験したことのない目線。鳥の目線はこんな感じかもしれません。印象深いレクチャーになりました。ツリーハウスとの組み合わせが秀逸。

そしてもうひとつは、銀座のエルメスで開かれている細川護熙展「市井の山居」での、藤森照信さんの茶室「亜美庵杜」。フランス語の À bientôt なのだそう。ネーミングもさすが。縁側と炉という単純な茶室で、縁に腰掛けていると(展示ですけれど実際に座ってよいのです)、庭が見えてくるかのような感覚がありました。小さな茶室から庭に向って発信される空間性と、茶目っ気や粋に富んだしつらえ。お茶の深さと無邪気な楽しさの両方に触れたような気がしました。そして会場全体が「外露地」「内露地」「草庵(=茶室)」に見立てられ、お茶会に招かれたお客になったかのように巡る流れになっています。それで納得。もてなされている感覚だったのですね…。居心地のいい展覧会でついつい長居をしました。

片やアノニマス、片や作家性の強い建築ですが、両者とも、小さなものが呼び込む特別な世界を感じるものでした。

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