堀之内の家

「のびしろ」をつくりだす

「のびしろのある家がいい。」ご主人からの第一声でした。

物理的な広さが変わらずとも、日々の生活の場面が変わる時、家族のライフステージが変わる時、その両方に対して空間が融通し合って伸びたり縮んだりするような家にできないかと考えました。最大の面積を確保するために総2階とし、1階2階ともまず大きなワンルームに。そのなかで家具や建具を変化させることを試みました。

1階は、まず浴室やトイレ、階段や収納を置き、それらの間をつなぐ引込建具を閉めることによって、玄関や脱衣室、和室をつくりだします。使うときだけ空間を切り分けます。

1階のテーブルは、脚の形を変えることができます。立てて使うと家族だけの小さいテーブル、寝かせて使うと大勢で囲む大きな座卓になります。3つの木箱は、リビングに置くとソファーに、畳の小上がりスペースにつなげると来客が泊まれる6畳の和室が現れます。

日常のシーンに合わせ、使い方を切り替えることができます。

2階は、柱のない一室空間の寝室とワークスペースです。モジュールを統一したオリジナルのユニット家具をつくり、その配置を変えたり増やしたりすることで仕切り方や使い方を更新していくことができます。

最初は階段まわりの本棚で大きく「寝るスペース」と「ワークスペース」に分かれています。子供が小さい間はそのまま使い、子供の成長に伴って、収納や本棚を増やして間仕切りを更新し、独立したスペースを自由につくることができます。

日々の生活と将来のライフスタイルという、スパンの異なる変化に対して、それぞれの「のびしろ」を用意した住宅です。

堀之内の家

竣工   | 2005
用途   | 住宅
構造   | 在来木造

共同設計 | 石田設計室
構造設計 | 腰原幹雄
施工   | ネクサスホーム
写真   | 熊谷順

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