遅刻ー!いつもぎりぎりになってしまう。今日は2階の教室かと急いで登った階段。一気に駆け上がると、あれあれなんだか様子が違う。ここはどこ?表示を見ると3階。???。上りすぎ? 再び降りてみると1階に。思考停止。気がつくまでに時間がかかる。1階から3階へ行く階段!そんな階段あるの? 仕方なく別の入口から入り、別の階段を登って2階に。もちろん遅刻です。
ここは、飯田橋にある日仏学院。ヘタのヨコ好きでぼちぼちと通っています。恥ずかしながら、この時初めてこの階段を上ったのでした。坂倉準三設計の名建築なのに…。そのときは夜のクラスで、あー終わった終わったと忘れてすぐ帰ってしまったのですが、先日謎解きに再び上ってみました…。
もう一度、1階から3階に上ってみます。平面はおにぎり型をしていて、中央にはトップライト。明るい階段です。3辺の階段で上りきります。上りきった3階は普通の教室がいくつか。他の階に比べると静かな感じです。再び1階に下り、落ち着いてよく見ると、正面に小さな入口が。入ってみると右に薄暗い階段が続いている。とりあえず上る。こんどはひっそりとした廊下に出た。なんだか入っちゃいけない雰囲気。そろそろーっと進むとなんと院長室!ドア開いてなくてよかった。そうか、3階のプライベートスペースへの動線。1階では階段室の裏に抜けることもでき、そこは清掃関係の道具置き場。完璧に裏動線。
やっとわかる。2重らせんの階段だったのです。一見、単純な構成の建物に見えるのですが、この階段一つでパブリックとプライベートの動線の仕分がなされていたのです。そしてよく見ると壁に埋め込まれた照明は、表と裏の両方の階段を照らしています。手すりのディテールも美しい。よくできているなぁ。感心してしまいました。
よく考えると、学生時代にこれによく似た階段の図面を見たことがあります。論文でル・コルビュジェの無謀な数のスケッチ集をひっくり返していたときにありました。たしかブリュッセルの住宅計画案。それは入れ子状の階段で、階段平面は木の葉型をしており、中に小さなメイド専用の折り返し階段、その周りをメインの階段が取り巻いていました。他の住宅でも形は違うものの2本の階段が絡み合っているものはよくありました。やっぱり弟子。思い出して納得。
Comment 1